[尾張の山車まつり]−[祭吉の山車祭講座][特集〜武豊山車祭り3]

第55回 特集〜武豊山車祭

 冨貴地区の山車の見所

本若組『本若車』〜白木造りの古い構造を持つ山車〜
    典型的な知多型山車ですが、注目したい点は堂山四隅の斗形の最上部井桁の構造で組まれています。一般に多くの知多型の場合、「隅指し」といわれる斜めに突き出る構造材がありますがこの山車にはありません。他には亀崎東組宮本車や中切組力神車で見られます。古い形式だと思われますが、明治元年という比較的新しい山車では珍しいです。
市場組『天王丸』〜上山に舟を頂く山車
   上山に舟を載せるのはここだけです。他には例がありません。舟の高さがあるためでしょうか、その分山車の堂山が小ぶりです。多くの堂山は八本柱で立てられますが、ここは六本柱です。そのため斗形、八枚虹梁(ここは六枚)、獅子などの数が少なくなっています。
東大高区『知里布車』〜古式の伝統を受け継ぐ山車〜
 平成元年に塗り直しの修理を行っていますが、修復だけで改修はされておらず古式の形態を大切に保存している山車です。注目したい点は堂山高欄部分です。多くの古式の山車は拳鼻の持送り状(大足蛇車など)で大変簡素な造りです。この山車は堂山高欄部分は斗形、蟇股、八枚虹梁、獅子鼻が配され現在の白木の知多型の構造に非常に似ています。
市原組『縣車』〜亀崎より受け継がれた山車〜
 半田協和砂子組より譲り受けたといわれる縣車には塗りの部分が残されています。蹴込みの風神の絵図や堂山支輪などがそうです。協和砂子組は亀崎石橋組より譲り受けたとされ、こうした塗りの部分が亀崎石橋組の青龍車のものと推察されます。

 大足地区の山車の見所

大足組『蛇車』〜古式を斬新に改修した山車〜
    古式の形態を残す蛇車ですが塗り直しの修理を行うと共に部分的に改修も行っています。壇箱、脇障子などがそうで白木の彫刻が入れられています。塗りの山車に白木の彫刻、時代に合った斬新な改修ともいえるかもしれません。塗りから白木への知多型山車の変遷もこのように部分的に少しずつ改修されていったと思います。注目したい点は上山の懸魚と桁隠しです。これは懸魚の語源にもなるもので原型ともいえます。唐破風だと分かりにくいのですが(寺院など切破風の懸魚だとわかりやすい)魚が懸かっている感じでこの名称で呼ばれます。多くの知多型では彫刻が彫られています。

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