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第54回 特集〜武豊山車祭長尾編

長尾地区の山車の見所
馬場区『長北車』〜三河の要素を持つ知多型の山車〜
      上郷村(現豊田市)より譲り受け知多型に改造された山車で随所にその名残が見られます。懸魚、蹴込み、前山鬼板がそうです。中でも前山鬼板は全体に龍が彫られていますが、これは三河の山車に見られる特徴です。(知多型は中央に紋などを入れる板があり、その脇を彫刻で飾ります。)
小迎区『鳳凰車』〜壇箱に彫り入れ御殿造に大彫りの題材〜
   鳳凰車の壇箱は御殿造(七福神などが多い)でしたが永年彫刻がありませんでした。近年入れられた彫刻が「費長芳仙人瓢箪から駒」です。壇箱の欄干を外し全体の大彫りにした壇箱は他 にありません。ただ、御殿造の障子は単に井桁ではなく凝った障子でした。彫りに覆われて見えにくくなったのが少し残念ですね。
市場区『神宮車』〜脇障子「神功皇后、竹内宿禰」〜
 「神功皇后、竹内宿禰」は多く彫刻の題材として取り入れられていますが神宮車の脇障子の神功皇后、竹内宿禰は平服です。(多くは甲冑姿)こうした図案は他には見られません。
神功皇后 の前には三種の神器、竹内宿禰の前には案(神事の机)にお供え物、何か祈祷か占いでしょうか?そういえば神宮車の水引きも鮎(占いの魚)ですね。何か関連があるのでしょうか?
下門区『八幡車』〜壇箱「八俣の大蛇」〜
 壇箱「八俣の大蛇」は大正12年彫常の作です。一般に「八俣の大蛇」は脇障子に多く見られますが壇箱の「八俣の大蛇」はここだけです。
上ケ区『宮本車』〜壇箱「太平楽人」〜
 「太平楽人」といえば亀崎花王車の立川和四郎の物が有名ですが、ここのは彫常の作です。彫常の立川に対する対抗意識が伺え、図案は異なっても構図は良く似ています。詳しくは近日予定の『山車彫刻-太平楽・楽人』編で解説します。
玉貫区『玉神車』〜前山破風尻の唐草〜
破風尻(長北車の前山)
 玉貫区『玉神車』は天保年間に上半田北組が建造した山車が成岩東組を経て譲られてきたもので随所に名残がみられます。彫刻では脇障子、持送りがそうで弘化年間の作とされます。注目する点は前山破風尻(破風の両隅)です。唐草が彫られています。こうした形式は塗りの古式の山車に多く見られますが、白木の山車ではここだけです。(ちなみに馬場区の山車もそうですがこれは改造時に彫常が大き過ぎる破風を切ったといわれ、彫師としての彫常があえて施したと推察でき歴史的に古いものではありません。

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