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第49回 山車祭りの地域性

 現代日本社会は少子化、高齢化、核家族化といった問題から、地域社会の対人関係が疎遠になりつつあります。隣に住む人について何も知らないといったことは特に都会でよく見られる傾向です。以前、『住む人の 心をつなぐ 山車祭』 なんて俳句を紹介しましたが、地域社会における山車祭りについて考えて行きたいと思います。
山車祭りだけに限らず祭りは地域社会をまとめる性格があります。そして地域社会の中心が神社であるわけです。現代でこそ公民館といった公の施設がありますが、地域の寄り合いの場が神社であったわけです。(山車組の若い衆小屋などもこれに準ずると思います。)その神社の年に一度のお祭りに地域住民が揃って参加することで連帯感が生まれるわけです。
 殊に山車祭りは長い時間をかけて様々な取り決めがされ作られて行きます。山車そのものに至っては山車の組み上げや解体、祭り当日の曳き廻しなど多くの人員を必要とします。皆の参加なしには出来ません。老いも若きも皆が心を一つに山車に思いを寄せて曳くことで年齢の枠が取り払われます。
 私も地元にはお年寄から小中学生の子供まで幅広い年齢層の知り合いがいますが山車祭りに参加していればこそだと思います。学生の頃、大して仲も良くなかった友達とも未だに会って話せるのも祭りのおかげです。
 祭りに楽しみにしていることに懐かしい人達に会えるということがあります。祭りには地区のあちこちから人が集まりますから、普段では会うことがない人に会えますね。学校の先生とか同年の友達、先輩、後輩など昔の彼女が子供なんか連れてたりして、こうしたことは祭りならではですね。
 盆、正月は帰らなくても、祭りには帰る。なんて言われますが、地元を離れて暮らしている私にとってはつくづく感じます。盆、正月に帰ったところで、会えるのは家族とせいぜい親戚ぐらいですかれらね。祭りのようにはいきません。地域のみならず、その地域を出ている人までも結びつける、そんな魅力が山車祭りにはあると思います。

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