[尾張の山車まつり]−[祭吉の山車祭講座][斗形]

第27回 山車祭りと厄歳

 人生には様様な節目があります。そうした時、神社にお参りをしますね。これを人生儀礼と言いますが例えば、安産祈願、初宮詣、七五三詣です。厄歳も一つの節目ですね。一般に言われるのが男性は25歳、42歳。女性は19歳、33歳です。
 この厄歳、何か悪い歳のように思われますが、決してそうではありません。厄祝いというように、お祝いの歳でもあるのです。内祝いで親戚縁者に贈り物をしますが、人間、誰一人として自分一人で生きているわけではありません。多くの人に支えらえ生きているのです。その歳まで多くの人のお陰で生きることができた。その感謝の意味で内祝いがあるのです。60歳の還暦はお祝いの感が強いですね。
 さて、この厄年。非常に嫌われます。やっぱり何か悪いことがあるのかと思われますが、そうではなく、人生の節目に当たりやすいわけです。19歳では進学、就職、結婚。24歳では結婚。33歳は出産。42歳は親の死去など。が当てはまるのではないでしょうか。結婚でいえば、今まで別々に住んでいた二人が一つ屋根の下で生活を共にするわけです。つまり、生活環境が変わるわけです。慣れない旅先で体調を崩されたことがある人もいると思いますが、そうしたことが起こりやすいわけです。
 つまり、環境の変化に体がついていけずに体調を崩してしまうわけです。出産は家族が増える。家族の死去はその逆です。そうした環境の変化、周りに振り回されず平常に過ごすことが大切なのです。
 厄歳の前置きが長くなりましたが、山車祭と厄年についてお話ししましょう。人は普段自己中心的になりやすいですね。しかし、「人」という字(人と人が支え合う)が示すように人は人の為に生きてこそ人であり、自己中心的な心は人でなしということです。つまり、厄年は自分の為ではなく、みんなの為に生きていこうよ。という神様からのメッセージがあります。
 毎年、
厄歳の女性による食事の準備
祭りに参加しない人も厄年には参加します。主として男性が多いと思いますが。常滑では42歳は山車の前梶と元綱を担当し、女性は食事の準備、炊事を担当します。所によっては、前梶、後梶、会計と3年あるそうです。こうして、みんなの為に山車祭の役につくわけです。「」は「」の掛け合わせでもあります。こうして、祭りに参加して、厄(穢れ)を祓うわけです。
 また、山車が厄歳の人の家を通る時、山車を門付けしてお神楽をあげます。これで寄付を頂くのですが、これも、みんなの為にお金をだしてね。という神様からのメッセージです。あと、厄歳の方みんなでお金を集め、字に寄付しま
す。山車の彫刻や提灯、からくり人形の衣装もありました。これも同様のことがいえます。厄歳で山車祭に参加することで、知らず知らずのうちにみんなの為になることをすることになります。御札と御守りの項でも書きましたが、自己中心的な心である穢れを祓う力が山車祭にはあるのです。
使用画像は祭吉氏提供

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