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第6回 女人禁制

 山車の曳行には大変多くの人数を要します。だいたい3トンとか4トンとか言われる山車ですから、その労力も相当のものです。今でこそ、老若男女問わず誰でも参加できる山車祭が多くなってきましたが、古くは女人禁制と言って、女性は山車の曳行に参加できず、曳き綱に触れることすら出来ませんでした。今でも、歴史のふるい亀崎や下半田などでは女人禁制の伝統を守っています。
 さて、女人禁制についてですが男女平等、男女同権と言われる今日では男女差別だと言われそうですが、この女人禁制、古くは女性は穢れ(けがれ)ているとされ、清浄を重んじる神社の神事には遠ざけられてきました。こうしたことから男性が女性より偉いという考え方があるわけです。これを男尊女卑と言います。
 では、なぜ女性を穢れとしたのか。古くは血を穢れとする考え方がありました。伊勢神宮などでは忌み言葉と言って、血のことを汗「あせ」とか表現したそうです。女性には生理がありますよね。それで血が出る。よって穢れとなるわけです。
 しかし本来、神道(神社の宗教)の考え方では女性だけを穢れとしたわけではありません。穢れとは気枯れで、健康な状態を元気と言うように、本来あるべき気が枯れてしまった状態が穢れ(気枯れ)なわけです。女性は生理の時、どうしても体調が悪くなりやすいですよね。それで、長い歴史の中で、神道本来の穢れの考え方が歪み、特に女性を軽視する男尊女卑ができ、山車の曳行などの神事には女人禁制となったんだと思います。
 だから、男性でも病気だったら穢れなわけです。毎年祭りに参加する男性でも穢れによって参加しない場合もあります。それは、近親者の死去の場合です。その年の祭りには参加しません。身内が亡くなったら寂しくなり、元気なくしますよね。これも一種の穢れです。
今では多くの山車祭で女性の参加が見られるようになりました。男も女も揃って参加できる楽しい山車祭。いい時代ですね。私の地元常滑祭では厄年の女性が昼食のおにぎりをにぎるんですが、仕事が終わった夜には一緒に山車を曳きます。厄才のおばちゃん達のパワーすごいものです。まけてしまいそう。
 終わりに半田亀崎の潮干祭は男の祭ですが、夏祭にも山車がでて、その山車には女性も参加できることを付け加えておきたいと思います。囃子方も女性。前棚ではからくり人形ではなく女の子が踊りをします。かわいいですよ。今年は終わってしまいましたが、毎年8月の第一土日です。
機会があったら見に行っては。もう一つの亀崎の山車祭が見られますよ。

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