No.13
03-05-23追加


荒野の山車
 阿久比町宮津
あの角を曲がったところにあった幼なじみの家がなくなったのは何年前だろうか.
母に頼まれ渋々お使いに行った豆腐屋はいつの間にか駐車場.
10円玉握りしめて通った駄菓子屋はどうなったろう.
手のひらで汗ばんだ硬貨の感触と、店番の婆さんの皺顔が懐かしい....
久しぶりに訪れた街角に空き地があった.さて何が建っていたのだと、ふと思うときがある.
存在感はなかったのだが、それだけ町にとけ込んでいた証だろうか.寂しいことである.



何もないところに家が建つ.
誰もいなかったところに人が住む.
今はたった数軒の家だが、何年か後には立ち並んだ家並みの間を大勢の子供に曳かれた山車がここを通るのだろうか.
楽しみである.


実に不思議で、今までに見た事のない光景だった.
遠くで聞こえる太鼓の音を頼りに.神社から随分歩いたのだった.
荒涼とした赤土の向こうに数えるほどの民家と赤い山車.


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