PCMレコーダー

今年の春から囃子の録音に新しい機材をを使い始めた.
昨年まではサンヨーの古いMDレコーダーを使っていたのだが、今時の省電型の設計ではなく30分も録音するとバッテリが切れてしまう.
それでゼロ戦が増槽タンクを胴体下に架装したように(例えが古いね)単三電池2個を本体にボルトオンさせてしのいでいたのだった.しかし元々分厚くて重いボデーにバッグが更にメタボリック...

以前からICレコーダー(ボイスレコーダー)には注目していたのだが、その手軽さと裏腹に聞くに堪えない音質の悪さにはまだまだ発展途上のツールではないかと思っていた.
特に尾張の山車囃子の場合、大太鼓の音圧と締太鼓の立ち上がりの鋭い音、繊細な笛の音や小鼓と音の大きさから周波数帯域まで差が大きくてバランスが悪い.ダイナミックレンジが大きくとれないと破綻した録音になってしまう.

しかし、iPod効果でもないだろうが、去年あたりからステレオ録音可能で音質にも目を向けたICレコーダを見かけるようになってきた.
そろそろ重い腰を上げる頃合いかと、情報を集め候補にあがったのがサンヨーのICR-PS285RM.
ICレコーダーによく使われるMP3より音質のすぐれたリニアPCM録音(wave)という方式で、理論上はオーディオCDと同じ音質レベルで録音出来る.
まあ、あくまでも44.1kHz/16bitのサンプリングレートと最高20,000Hzまでの周波数帯域がそうなのであって、実際にはそれほど期待は出来ないのだが.
2GBのメモリを内蔵しているので、その最高音質のPCMステレオ録音で3時間強、MP3の最高音質だと実に35時間録音出来る.

で、使ってみた結果だが実のところまだよくわからないというのが本音だ.
録音の設定は手動レベル調整でのマニュアル録音とオートレベル録音しかない、オートには高感度、中感度、低感度と音源に合わせて3種あるが、音源(つまり山車)からの距離に対してベストなセッティングが見いだせないでいる.
しかし、少なくとも内蔵(出っ張ってはいるが)のステレオマイクではいい音が得られないことは解ったので、途中から外付けのステレオマイクを使うことにした.

MDレコーダで録音した場合、レコーダを音声ケーブルで接続して再生しながらパソコンに取り込まねばならなかった.等速だから2時間録音したなら取り込みにも2時間.
デジタル録音したレコーダのヘッドフォン出力からパソコンのAUXに、なんともアナログな結線だこと....

PS285RMはといえば、本体のお尻に隠れているUSBコネクタを引き出してパソコンのUSB端子に接続するだけ.waveファイルで保存されているので、マイコンピュータでドロップするだけと超簡単.
反対にパソコンからPS285RMに音楽ファイルをドロップすれば携帯音楽プレーヤーにもなるという.
しかもUSBに接続中に本体のエネループ電池に充電してくれるので手間いらずで、今のところ途中でバッテリ切れになったことはない..
まあ出先でバッテリが無くなれば市販の単4電池が使えるのだけれど.

こんなに便利になったのになぜか本格的に使う気がしないのは何故だろう.
その軽さから来る頼りなさか、それとも ...