尾張の山車まつりへ [知多の山車館]−[知多市北粕谷]
知多市北粕谷地区

03-07-17更新

今に残る貴重な亀崎西組の旧車
 知多市北粕谷地区に山車が1台保存されています.これは八社神社の春の例祭に曳かれていた山車で,その由緒は古く,江戸中期に建造されたものです.
 亀崎西組によって建造されたこの山車は,弘化5年(1848)に板山・大湯組へ譲渡され,大湯組では「花王車」と名付けられ祭礼に曳かれていました.その後,昭和2年(1927)に当地区が買い入れたものです.
 山車は,現在主流になっている白木の知多型になる以前の様式で,名人として知られた六代目彫長(早瀬長兵衛吉政)の四本柱の「巻龍」や壇箱の「近江八景」など箔押・彩色された彫刻とともに貴重なものです.
 なお,北粕谷ではこの山車を購入する以前から山車を保有しており,宝暦5年の『尾陽村々祭礼集』にも記載されている事から,その起源はさらにさかのぼると思われます.

 建造年代について
寛政年間(1789〜1800)と推定され,八社神社境内にある山車蔵には「文政6年(1826)」や「文政8年」と書かれた亀崎西組当時の箱が保管されていることから,文政年間にも改造が行われたと思われます.
山車彫刻詳細(壇箱等)
山車彫刻詳細(巻龍等)

 太平洋戦争の激化により昭和15・6年頃休止され,戦後も1度飾り付けただけで,永らく休止していました.
 平成10年の春祭りには組み立てられ八社神社境内を曳き廻され,翌年も同様境内を曳かれましたが,神社外へ出ることはありません.
 平成12年は車輪の割れが発見され,残念ながら曳くことは出来ず飾られるだけとなりました.

右写真は復活時(平成10年)の様子です.まだ山車蔵はなくシートで覆った仮サヤです.(写真提供 横須賀・E氏)


前山
山車下層から上山を見る

螺鈿で仕上げられた四本柱
蔵に保管されている箱の蓋には「文政六年」「文政八年」の文字.
「西組」とあるのは亀崎・西組のこと.

昔使われていた宵祭りの提灯

参考資料:大野谷風土記,半田市誌,阿久比町誌,他
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